最高裁判所第二小法廷 昭和47年(あ)1090号 決定 1973年4月03日
本店所在地
東京都千代田区神田淡路町二丁目一番地
平和観光開発株式会社
右代表者代表取締役
平田豊
本籍
東京都中野区沼袋三丁目四五三番地
住居
同区沼袋三丁目二二番一五号
会社役員
平田豊
大正八年四月一五日生
本籍
東京都墨田区千歳町一丁目一〇番地の二
住居
同区千歳一丁目五番一五号
会社役員
鳥井利一
明治四二年八月二五日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、昭和四七年四月一九日東京高等裁判所が言い渡した判決に対し、被告人らから上告の申立があったので、当裁判所は、次のとおり決定する。
主文
本件各上告を棄却する。
理由
弁護人竹原精太郎、同新井亘幸連名の上告趣意のうち判例違反、憲法三八条一項違反をいう点は、所論の各自白が取調官の巧妙なトリック、暗示にかかってなされたものであるとの、原判決の認定に沿わない事実を前提とするものであり、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、いずれも刑法四〇五条の上告理由にあたらない。また、記録を調べても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 大塚喜一郎 裁判官 村上朝一 裁判官 岡原昌男 裁判官 小川信雄)
○昭和四七年(あ)第一〇九〇号
被告人 平和観光開発株式会社
同 平田豊
同 鳥井利一
弁護人竹原精太郎、同新井亘幸の上告趣意(昭和四七年七月一二日付)
第一点 原判決には判例違反の違法がある。
原判決は被告人鳥井の大蔵事務官に対する各質問てん末書および検察官に対する供述調書・被告人平田の大蔵事務官に対する各質問てん末書ならびに検察官に対する各供述調書を証拠として採用しているが、右各自白は、取調官の巧妙なトリック、暗示にかかってなされたもので無効であり、これを証拠に採用することは、憲法第三八条第一項、刑事訴詮第三一九条第一項に違反するものである。
而して、この問題に関する最高裁判所大法廷・昭和四五年一一月二五日の判決(判例時報六一三号一八頁)に違反している。
この点に関する詳細は、控訴趣意書(昭和四五年二月一五日付)第一項の二、三に述べたとおりであるのでこれを引用する。
第二点 原判決には判決に及ぼすべき重大な事実の誤認がある。
須藤商事株式会社と被告会社との委託販売契約について、原判決は、これを仮装のものであると認定し、真実は売買契約であるとされているが、これは全く事実を誤認したものである。
その詳細は、前記控訴趣意書第二項の一および昭和四六年二月八日付補充控訴趣意書第一項で詳述したとおりであるので、これを引用する。
以上